クレームが多すぎて、耐え切れないサポートスタッフ

 私は、建設関係の現場管理業務に用いる業務用ソフトのカスタマースタッフを行っていました。
 元々パソコンに関する知識をそれほど持っていたわけではありませんでした。
 それまでは、人と接する仕事をよく行っており、電話応対についても少なからず経験がありました。
 また、会社の方にも、パソコン関係の知識は働きながら身に付けていくしかないというお話を面接の時に受け、それならばと就いた仕事でした。
 実際のところ、パソコンに関する知識を仕事で使うことはそれほど多くなく、これならばとやっていけそうだと感じていたのです。
 ただ、勤めていくに従い、対応するサポート内容が増えるに従って、その考えが甘かったことに気付いたのです。
 それというのは、確かにパソコンに関する知識はそれほど使わなかったのですが、代わりに建設関係の知識が必要であり、寧ろ、それが無いことによる苦痛や苦悩が多かったのです。
 お客様は、基本的に現場で弊社のソフトを利用しており、サポートは当然その現場に合わせたものが求められます。
 つまり、現場をイメージできなければ、弊社のソフトの使用方法をいくら理解していたとしても、対応は非常に困難を極めるのです。
 また、建設関係に勤めている方々は、その仕事柄、言葉遣いや対応が厳しくなりがちです。特に、期限が迫る中で慌ただしく仕事を行っていることが多いため、気性も荒くなりがちで、クレームはもちろんとして、単純な操作の説明を求められるだけでも、罵声が飛んでくることは珍しくありません。
 繁忙期には、そういった電話が休む間もなくやってきて、ただでさえ聞き苦しい罵声を切れまなく浴びることになります。
 結果的に、私は精神的に追い詰められ、疲弊していきました。
 給料がそれほど高くないことが、その疲弊に拍車をかけ、もはや、生活にすら余裕を持てなくなりました。
 仕事も行えば行うほど、何かを言えば罵声が飛んでくるのではないかと感じるようになり、日に日に、話す言葉自体おぼつかなくなっていきました。
 いっそ言葉を発すること自体に躊躇いが生まれ始め、それによって更にクレームが増えるという悪循環に陥ってしまったのです。
 このままでは、会社にも自分にも良いことはないと感じ、私はこの仕事を辞めることにしました。
 今となっては、電話に出るにあたって若干の恐怖を感じることはありますが、話すことは普通にできるように戻り、精神的にも負担が減ったため、生活は気楽なものになりました。
 仕事を甘く考えていた面はあると思いますが、その仕事がどういうものか事前にしっかりと調べ、イメージできるようにしていくことの大切を身に染みて感じた、勉強になる経験でした。